2017年02月20日

『朗読劇 こころ』新宿より漱石に愛を込めて(その1)

〔プロローグ〕 
 お天気に恵まれた日曜日の昼下がりに、
 行政書士の大先輩である天辰先生率いるアマチュア劇団による
 『朗読劇 こころ』を観てまいりました。

 先日、私の住む牛込柳町から夏目坂を経て高田馬場のTUTAYAに散歩した折に見かけた、町内会掲示板に張り出されていたチラシをご覧ください。
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 会場は、高田馬場駅のすぐ近くの新宿区立戸塚地域センターの7階ホール。
 2年程前にできたばかりで、新宿区の他の老朽化した施設に比べて綺麗です。
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 7階に到着したら、会場30分前にまさかの長蛇の座り込み。
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 会場内では、天辰座長(中央の緑の上着)と団員が最後の調整をしています。
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 いよいよ開場。お客様が続々と席を埋めだしました。
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 新宿区では、『夏目坂』の地名に残るように、
 夏目漱石が生まれ育ち、大作家として活動を続けた場所であることに因み、
 夏目漱石生誕150年である本年に様々な行事が行われています。

〔事の始まり〕

 天辰座長は、新宿で長年にわたり行政書士として活躍される傍ら、
 万年演劇青年として演劇研究・エキストラを続けてこられたことが、
 行政書士会新宿支部では一部に知れ渡っておりました。

 3年前に、私が弁理士事務所を開設した折に、
 名ばかり行政書士の資格を生かすべく、専ら呑み会が中心でしたが、
 行政書士の先生方とのおつきあいが深まりました。

 行政書士会の何を名目にした呑み会であったか忘れましたが、、
 その呑み会で初めて天辰先生にお目にかかりました。

 天辰先生のオールバックの豊かな白髪と、浅黒く日焼けされ皺深く刻まれたお顔の、
 菅原文太を彷彿とする風貌を目の当たりにして、
 私は、行政書士の先生には少し違う世界の方もいらっしゃるのかと、
 やや引き気味に、目を逸らしながら映画の話でもしたのだと思います。
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 そうしたら、天辰先生が私につつつと近づいてきて、
 「柴先生、映画がお好きなようだから、これボクが書いた劇のシナリオだけど読んでくれないかな」 と、ワープロで印刷したホチキス止めの冊子を押し付けてきたのです。

 そのシナリオは森鴎外原作でタイトルは『国際恋愛小説 舞姫慕情(前篇)』
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 翌日、二日酔いに苦しみながら、ヤクザ映画のパロディ版かと思いつつ読みだしたら、
 森鴎外が生きた明治の当時の政治状況を背景とした、
 顔を赤らめずには読めないロマンチックな本格恋愛ドラマであったのです。

 これをきっかけに、以後、私の中では、
 強面の菅原文太がニコッと笑うと、とてもチャーミングなちょい悪紳士に変貌する
 天辰先生のイメージが定着したのでした。

〔天辰座長の構想〕

 それからしばらくして、行政書士会の何かの呑み会でまたご一緒した天辰先生に、
 「『舞姫』の舞台化はどうなりました?」と尋ねたら、
 「石川先生から「天辰さん、新宿で活動しているのだから、漱石を舞台化すべきだよ」
 と言われてしまって、今『こころ』の舞台化を目指してます」 との遠大な構想で
 (石川先生は、行政書士会新宿支部の重鎮で天辰先生のさらに先輩です)、
 いったいこれはどうなることかと思ったものです。

 そのときいただいた、団員募集のちらしです。
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 天辰先生は、行政書士会新宿支部の有志を集めて練習を開始したのですが、
 忙しく猛者揃いの先生方を、さすがの天辰先生も御しきれず方向転換をされました。

 天辰先生の手のひらで踊ってくれるであろう若い学生、
 文化活動・エンタテイメント活動をされる紳士・淑女・アーティスト、加えて、
 文化・社会活動繋がりの区議・弁護士の三雲先生を引きずり込み、
 新宿の行政書士のドンとしての政治力とお人柄で、
 新宿区の漱石記念活動繋がりの文化人・漱石研究者・演劇関係者に手を伸ばし、
 今回の公演の主要メンバーを次々に手中に収め、
 新宿ならではの劇団陣容となったのでした。

 メーリングリスト(ML)網に私も入れていただいたおかげで、
 この過程での天辰先生のMLによる秘密指令の全記録が、私の手元にあります。

 記念すべきMLによる最初の秘密指令が、2015年3月8付けの以下の文面です。
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  グループメールの皆様
   グループメールのかたがたが、9人となりました、
   無理しないでのんびり楽しくおいでになれるときおいでいただければ
   嬉しいです。
   新宿区が誇る日本文豪の夏目漱石さんの生誕150の年の2年後には
   なんかやりましょう。
  てっちゃん天辰
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 MLのメンバー全てが公演メンバーではないので、きっと、
 練習参加は5人程度あったと思われます。

 ●来る者拒まず去る者追わず、●練習と目標はテキトーに、●漱石への愛はしっかりと
 という今に至る劇団天辰のゆるーいコンセプトが既に形成され、
 天辰先生の強面イメージと程遠い「てっちゃん天辰」なる剽軽な座長名を使うなど、
 周到に考えられながら活動を開始されたことがよくわかります。

(続く)
タグ:夏目漱石
posted by Dausuke SHIBA at 21:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台・ライブ