2017年07月22日

「弁理士の業務の実体等に関する調査研究」アンケートが来ましたが・・・

 一昨日(2017/7/20)、表題のアンケートが届いたので、中身をみたら、
 「経済産業省特許庁委託調査研究事業」ということで、
 以下に添付した送り状と共にアンケート調査票が入っていました。

アンケート調査への協力のお願い.jpg

 このアンケート調査ですが、
 私は下記(特に「3」)の点でとても違和感があり、
 パスしようかと考えています。

 なお、本記事は、このアンケート調査の差出人を非難する意図はなく、
 私が感じた素朴な疑問を書きとめただけですので、
 誤解なきようお願いします。

1.実施主体が不明
 このアンケート調査の送り状の差出人は、
 「受託事業者 株式会社サンビジネス
  事業担当部局 経済産業省特許庁総務部秘書課」
 となっているのですが、いったい誰が実施主体なのかが不明です。

 「株式会社サンビジネス」はアンケート作業の受託事業者であって、
 送り状を見ても「問い合わせ先」以上のものではなさそうですが、
 送り状の本文は「株式会社サンビジネス」が書いたことになっており、
 事業主体かのようにも読めてしまいます。

 「特許庁総務部秘書課」も「担当部局」というだけで、
 このアンケート調査でどのような役割を担当しているのか、
 何の説明もありません。

 封筒に、「経済産業省特許庁委託調査研究事業」と書いてあるので、
 特許庁が事業主体らしいと忖度はできるのですが、
 当該事業とこのアンケート調査がどのような関係にあるのかの
 説明も一切ありません。

 普通であれば、送り状の差出人は、
 「経済産業省特許庁委託調査研究事業」の責任者名義とし、
 この責任者の名の下に、
 ●当該事業と当該アンケート調査の関係、
 ●特許庁総務部秘書課の枠割、及び
 ●株式会社サンビジネスの役割を説明した上で、
 調査対象である弁理士に協力を求めるのではないでしょうか?

2.平成26年弁理士法改正で
  「オープン・クローズ戦略」に関する相談業務が新設された???

 送り状の
 「弁理士法は、平成26年に一部改正され、・・・
  いわゆるオープン・クローズ戦略に関する相談業務の新設・・・
  が盛り込まれました」
 のくだりを読んで、とても喉に引っ掛かるものがありました。

 弁理士法平成26年改正で新設された相談業務には以下があります:、
 第4条第3項
  弁理士は・・・弁理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、
  次に掲げる事務を行うことを業とすることができる。・・・
 一 特許、実用新案、意匠、商標、回路配置若しくは著作物に関する権利
   若しくは技術上の秘密の売買契約、通常実施権の許諾に関する契約
   その他の契約の締結の代理若しくは媒介を行い、又は
   これらに関する相談に応ずること。
 二 ・・・
 三 ・・・事業活動に有用な技術上の情報・・・の保護に関する相談
   に応ずること。

 どこにも「オープン・クローズ戦略に関する相談業務」はないので、
 特許庁総務部秘書課に電話で確認しましたら、
 「弁理士法平成26年改正の逐条解説で説明しているので
  平たく書きました」
 とのことでした。

 特許庁総務部秘書課が作成した
 「平成26年法律改正(平成26年法律第36号)解説書」には
 この第3号について以下のような解説がなされています。
 「優れた技術や商品を生み出すイノベーションを促進するために、
  企業の研究開発等の成果の取扱いについて、
 ⒜特許による収益の確保、
 ⒝製造のノウハウなど秘匿すべき技術や営業秘密の「ブラック・ボックス」化、
 ⒞標準化戦略による市場規模・市場シェアの拡大、
  といった取組を最適に組み合わせながら、
  自社の「強み」の差別化・付加価値の最大化を図る
  「オープン・クローズ戦略」が重要となっている」

 法文は概念的でそれを読んだだけでは
 その趣旨が理解できない場合も多いので、
 専門官庁に逐条解説で平たく解説いただくことは全く問題ないのですが、
 知財の専門家向けのアンケート調査において、柱書文とはいえ、
 そこまで平たく書いていただかなくても、とも思いますし、
 私のように物事を素直にとれない偏屈には、
 却って誤解を招くのではないかと思った次第です。

 「特許を出すか、ノウハウにするか」は、
 私が会社勤めし始めた頃には既に、
 特許に関わる技術者の誰もが悩ましく意識していた古典的な問題で、
 今さら仰々しく「戦略」というほどのものでないのではとも思いますし、
 そもそも「オープン・クローズ戦略」は、
 知財分野の学者かコンサルタントが使いだした概念用語で、
 その内容は広く多彩で法的定義などとてもできない用語です。

 ですから、やはり、特許庁という専門官庁が、
 「平成26年弁理士法改正で
  「オープン・クローズ戦略」に関する相談業務が新設された」
 などという趣旨の平たすぎる解説はしない方がよいと思うわけです。

 私などは、平たすぎて「素人臭い」ともとれるようなこの部分を読んで、
 このアンケート調査はもしかして、特許庁の名を借りた・・・
 などとあらぬ誤解をしてしまい、
 それだけでも胡散臭い感じが拭いきれなくなり、
 このアンケート調査をどう受け取ったものかと、悶々と悩んでしまいます。

3.同業の特定企業に弁理士事務所の情報を集中管理させてよいのか?
 「株式会社サンビジネス」は、知財コンサル系事業を主体としており、
 弁理士事務所と同業といえる会社のようです。

 このアンケート調査は、
 弁理士事務所の詳細な情報を回答者に記入させるようになっており、
 これらの情報が「株式会社サンビジネス」で集中管理されるというのは、
 どうもしっくりこないわけです。

 特許庁総務部秘書課に電話で問い合わせたところ、
 このアンケート事業を競争入札で決まった「株式会社サンビジネス」に
 委託したとのことで、
 特許庁総務部秘書課にも「株式会社サンビジネス」にも
 何らやましいところはないのですが、
 アンケート回答者としては戸惑わざるを得ません。

 特許庁総務部秘書課の担当者は、
 もし「株式会社サンビジネス」に情報が行くのがいやであれば、
 特許庁総務部秘書課に直接回答してもらってもよい、
 と説明されるのですが、やはりちょっと筋が違うように思うわけです。

 近年、役所の事業を競争入札で民間に委託することが浸透していますが、
 やはり、安ければ誰がしてもよいというものではなく、
 競争入札に馴染むか否かは、事業主体が考えて欲しいと思います。

 今回のアンケート調査などは、
 それこそ、弁理士事務所との利害関係があまりない
 特許庁OBが運用する特許庁の外郭団体にしてもらった方が、
 却って安心なのではないかとも思ってしまいます。

******

 私も日常お世話になっている特許庁による研究のためのアンケート調査
 に協力したいのはやまやまですので、
 協力し易い体制をつくっていただきたいと希望する次第です。
posted by Dausuke SHIBA at 09:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 特許

2017年07月16日

TVドラマベスト10(第7位)

第7位 『白い巨塔』(1967)

第7位.jpg

 当時子供であった小生は田宮二郎の映画版は見ておらず、
 このモノクロフィルムのTVドラマ版『白い巨塔』のイメージが
 刻み込まれてしまいました。

 もともと悪役が多かった演技派の佐藤慶の財前五郎は、
 医学部の教授になるために患者をも踏台とする脂ぎった権力の信奉者で、、
 根上淳が演じる正義の里見先生と対象的で、
 悪の匂いが充満した迫力があり、子供ながらに怖かったものです。

 財前五郎を疎ましく思う上司の東教授を山形勲、
 その妻を小暮美千代、その娘を村松英子(とても美しい)、
 財前五郎の教授昇進を阻止するため色々と画策し、
 それはそれで財前五郎に引けをとらぬ俗物医師たちである、
 鵜飼教授を河津清三郎、菊川教授を南原宏治、
 財前五郎の義父の産婦人科院長を小池朝雄と、

 今みればそうそうたる役者陣ですが、
 当時の映画界では悪役専門の脇役ばかりの二線級キャスト、
 それも片岡千恵蔵、市川歌右衛門、大川橋蔵に叩斬られる、
 時代劇の悪代官と悪女ばかりであったと思います。

 しかし、さすがに映画俳優、
 TVのフレームでは俗悪が思い切りはみ出しておりました。

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 この『白い巨塔』は、財前五郎が医療裁判に勝つまでが描かれており、
 悪が勝ち、正義が負けるという不条理を知り,
 何とも暗い気分になりましたが、社会勉強になりました。

 阪大医学部がモデルといわれており、
 教授を頂点とする絶対的なヒエラルキーの大学医局制度の中で、
 権力闘争に明け暮れ、これでよく普段の診療ができると思いましたが、
 大人の世界の異様な毒々しいエネルギーに圧倒されたものです。

 その後観た田宮二郎の映画版『白い巨塔』(1966)も素晴らしく
 (山本薩夫監督なので当然ですが)、小生にとっては、
 財前五郎は佐藤慶と田宮二郎の迫力が印象に残りすぎてしまい、
 村上弘明君と唐沢寿明君の財前五郎では、
 なぜか笑いがこみ上げてしまい、食指が動きませんでした。

 『白い巨塔』は、山崎豊子の原作小説と、
 佐藤慶・田宮二郎版のTV・映画の完成度が高く、
 四半世紀以上経た時代にリメイクしようとしても、そのまま描くしかなく、
 そうなると時代錯誤と役者の軽量ばかり目立つ、ということになると思います。

 黒澤・三船・仲代の『天国と地獄』(1963)をリメイクした
 鶴橋・佐藤・杏の『天国と地獄』(2007)も無惨でした(杏がでてたんですね)。

 その医局制度が崩壊した現代医療の世界に颯爽と現れたのが、
 『ドクターX』でした。

 『ドクターX』のオープニング・ナレーションは、
 『白い巨頭』の正当な後継者であることを自負しているようです。

******

 今回、この記事を書くにあたり、監督を調べたところ、
 何とも不思議な縁を見出してしまいました。

 監督の関川秀夫は、ウィキペディアによると、
 東宝の前身会社PCLで黒澤明と同期の助監督になって以降、
 東宝、東映、独立プロ、松竹を渡り歩いた一匹オオカミの筋金入りで、
 節操があるのかないのか、社会派・ドキュメンタリーを基軸として、
 『少年探偵団シリーズ』(1950年代)等の娯楽映画も多く、
 TVドラマ『あゝ同期の桜』『白い巨頭』の後に、
 エロ・グロ耽美系の映画『いれずみ無惨』を経て、、
 映画『超高層のあけぼの』(1969)を撮っています。

 この『超高層のあけぼの』は、
 日本で最初の超高層ビルである霞が関ビルの完成における、
 関係者の苦闘を描いた、
 今でいえばスカイツリーの建造物語のようなドラマでした。

 関係者を、
 池部良、木村功、丹波哲郎、平幹二朗、佐久間良子、新珠三千代、
 田村正和、佐野周二、中村伸郎、根上淳・・・
 って、おいおいおい、今では考えられないであろう
 豪華キャストが演じていました。
 
 上記の俳優のファンであった父に連れていかれ、しぶしぶ見たのですが、
 これが『下町ロケット』のような、
 地震国である日本で超高層建造物を最先端技術を駆使して作り上げようという
 技術者たちの知恵と努力を真っ直ぐに描いたドラマで、
 すっかり感動してしまいました。

 なにしろ、パソコンもインターネットもなく、
 国産の超大型コンピュータで、パンチカードと紙テープで情報の入出力をしていたのが
 最先端技術の象徴であった時代ですが、
 それを縦横に駆使して妥協を許さない技術者と、
 難しい決断を迫られる経営者との葛藤に、
 手に汗を握り、霞が関ビルの完成を共に祝うことができたのでした。

 築43年で東北大震災を受けた後、築50年を迎える霞が関ビルは
 まるで最近建造されたばかりのような美しい姿ですよね。

 我が国の技術力の高さは素晴らしいと率直に思います。

 というわけで、小生は、関川秀夫監督の『超高層のあけぼの』を観たおかげで、
 理科系の道を歩み、建築とは全く畑違いですが、
 化学分野で研究開発をし、少し道を踏み外して弁理士となりました。

 関川秀夫監督とはとても不思議な縁で結ばれていたということになります。
posted by Dausuke SHIBA at 09:40| Comment(0) | TrackBack(0) | TVドラマ

2017年07月01日

TVドラマベスト10(第10〜8位)

 前回、野際陽子さんの訃報に接して、追悼の意を込めて
 第5位を報告したのですが、今回はオーソドックスに、
 第10〜8位を紹介します。

 現代劇たるTVドラマは、
 テレビ時代劇に比べて、近年著しく短命化し、圧倒的に本数が多く、
 とても全貌など追うことなどできるはずがなく、
 暇だけはあった1970年代までの記憶が強く残っています。

 1980年代以降は、テレビ自体をあまり見なくなったのですが、
 たまに偶然みた作品が良かった、というよりは、時間がない中、
 好みのものに対する嗅覚だけは残っていたということができます。

 ただ、歳と共に朝型に移行したため、
 ここ何年か、週末にTUTAYAでDVDを借りて、
 晩酌しながら過去のTVドラマを楽しんで頭を空っぽにしていますが、
 2000年代に入ってからのTVドラマは質が高く、
 当時は、たまに見ても面白いものに当たる確率は高かったともいえます。
 
******

第10位 『七人の刑事』(1961〜1964)

第10位.jpg

 早々にTVを購入していたお隣によく見せにもらいに行ったものですが、
 小生の家もTVを購入して家族で見始めてから、
 小生の記憶に残る最初の本格的TVドラマとなりました。

 それまでのフィルム制作の子供向けドラマと米国製ドラマしか知らなかった小生には、
 VTRのシャープな質感と、
 芦田伸介を始めとする渋いおじさん達の生真面目さが新鮮でした
 (あのおじさん達、当時30〜40代、今の小生より遥かに若かったとは・・・)。

 当時、日本は高度経済成長期にあり、
 TVを始め3種の神器が普及しだして明日への希望に満たされていたのですが、
 TVドラマの世界では、
 『七人の刑事』だけでなく『特別機動捜査隊』等の刑事物ドラマでは、
 何とも暗い世相が描かれており、
 七人の刑事たちの無力感だけが印象に残っています。

 冒頭のタイトルバックのこれまた渋さを絵に描いたような低音のハミング
 (日本人の歌手ではなかったのですね)は、
 5年以上聴いていれば耳にこびりつくのも無理はありません。

第9位 『八日目の蝉』(2010)

第9位.jpg

 小生が、リアルタイムで観た最後のTVドラマだったように思います。

 その日の新聞のTV番組欄をみていたら、タイトルがきれいだったのと、
 『武士の一分』以来ファンになっていた
 檀れい主演という理由だけで観てしまったのですが、
 子供の誘拐事件から始まり、ミステリーとロードムービーの要素も絡み、
 面白く見ていたのですが、
 最終回のあまりに重い結末に心から感動してしまいました。

 女性版の『砂の器』といってよいと思います。

 歳をとったせいか、あまり重い内容のドラマは敬遠してしまうのですが、
 『八日目の蝉』はうっかり観てしまったのが運の尽きだったようです。


第8位 『わたしたちの教科書』(2007)

第8位.jpg

 当時面白く観ていた『富豪刑事』が終わった後に、惰性で見始めたのですが、
 予想外に面白く、また最終回は感動してしまいました。

 いじめを主題にした本格ミステリー(転落死は事故か殺人か?)で、
 リアルな学園ものが続くのかと思いきや、
 登場人物の関係が二転三転して、最後は法廷劇に移行するという、
 凝りに凝ったドラマ作りで、最後まで楽しめました。

 剽軽な名前ながら暗い過去をもつ弁護士の積木珠子(つみきたまこ)(菅野美穂)、
 転落死した生徒(志田未来)の真面目な担任(伊藤淳史)、そして、
 権威主義の悪役である副校長(風吹ジュン)の演技合戦が見事でした。

 佐藤二郎と大倉孝二が、職員室の陰湿なムードを思い切り感じ悪く醸成しています。

 オリジナル脚本のようですが、
 秀逸な本格ミステリーとしてTVドラマ史に残るのではないでしょうか。
posted by Dausuke SHIBA at 09:19| Comment(0) | TrackBack(0) | TVドラマ