2019年06月30日

知財テーマブログの最新記事:オリンピック関連登録商標の異議申立と違法ライセンス疑惑の狭間で(4):商標法改正では違法ライセンス問題は解消しない

 私の知財テーマブログに、『オリンピック関連登録商標の異議申立と違法ライセンス疑惑の狭間で(4):商標法改正では違法ライセンス問題は解消しない』を掲載しました。

 改正法の効果が過去に遡及するかしないかについては、
 実はあまり多くの論文は存在しないのですが、
 小樽商科大学の斎藤先生の論文が、非常によくまとまっていましたので、
 参考にさせていただきました。
posted by Dausuke SHIBA at 15:01| Comment(0) | TrackBack(0) | お知らせ

2019年06月29日

知財テーマブログの最新記事:オリンピック関連登録商標の異議申立と違法ライセンス疑惑の狭間で(3):IOCファミリーの登録商標の多くは無効ではないか


 私の知財テーマブログに、『オリンピック関連登録商標の異議申立と違法ライセンス疑惑の狭間で(3):IOCファミリーの登録商標の多くは無効ではないか』を掲載しました。

 異議申立と違法ライセンスは交叉する話だと考えて、
連載を始めたのはよいのですが、特許弁理士としての本業が忙しくなり、
 頭が特許弁理士のままDVDで『陸王』を見てしまったばかりに、
道草ブログを結構気合入れて書いていたりしたため、
http://patent-japan.sblo.jp/archives/20190616-1.html
 すっかり、こちらの連載が中断してしまいました。

 今回は「IOCファミリーの多くの登録商標は無効ではないか」、
 次回は「改正商標法は過去に遡及して適用されない」
 という違法ライセンス寄りの話をして、
 それ以降に、『五輪』登録異議申立の話に移っていこうと思っています。
posted by Dausuke SHIBA at 18:16| Comment(0) | TrackBack(0) | お知らせ

2019年06月22日

『陸王』こはぜ屋のために知財コンサルティングをする(その8:第8〜10話・エピローグ)

■幕間■
右向き三角1『陸王』第7話では、
 アッパー素材の特許織物「ダブルラッセル」の供給が止まり、
 ソール素材の特許樹脂「シルクレイ」の製造装置が炎上して使用不能になり、
 『陸王』が製造できなくなったこはぜ屋を、
 世界的アウトドア用品メーカーのFelix社が買収を持ち掛けてきたところまで、
 展開しました。

右向き三角1『陸王』第8・9話は、ドラマでは、こはぜ屋は1件の特許も持たないので、
 宮沢社長は、なすすべなくFelixに身売りする瀬戸際まで追い詰められますが、
 「シルクレイ」特許権者の飯村氏(寺尾聰)が宮沢社長への恩義と信頼を取り、
 「シルクレイ」特許のライセンスをFelixにはしないという決断により、
 宮沢社長は、Felix社長(松岡修造)とある駆け引きをします。

右向き三角1陸王』第9・10話は、ドラマでは、こはぜ屋は飯村氏の「シルクレイ」特許を盾にして、
 Felix社がこはぜ屋に融資するという条件を引き出しますが、
 返済は5年以内にしなければいけません。
 宮沢社長(役所広司)はFelix社のこの条件を飲み、不退転の決意で、
 「シルクレイ」製造装置の再建と『陸王』の再事業化に取り組みます。

右向き三角1そして、シューフィッターの村野(市川右團次)がこはぜ屋から持ち出した
 最後に1足残されていた第2次改良『陸王』を履いた茂木選手(竹内涼真)は、
 完全な復帰レースと位置付ける豊橋国際マラソンに臨みます。

 詳細はこちらが参考になります↓
http://drama-night.com/tbs/rikuou-8wa
http://drama-night.com/tbs/rikuou-9wa
http://drama-night.com/tbs/rikuou-10wa

 私が腑におちないのは、おそらく飯村氏の「シルクレイ」特許は、
 残存期間が多くなく、5年過ぎてしまえば、
 Felix社は直ぐに「シルクレイ」を自由実施できてしまい、
 こはぜ屋を買収する動機付けもなくなるので、
 こはぜ屋はいつFelix社に切られても不思議ではないという点です。

右向き三角1特許の無名塾版『陸王』では、
 こはぜ屋はFelix社が欲しい低弾性シルクレイの特許2を持っているので、
 飯村氏とは独立に、Felix社とライセンス交渉(駆け引き)ができ、
 ドラマでの飯村氏のライセンスをFelixにはしないという決断は、
 こはぜ屋のライセンス交渉をさらに有利にするという位置づけになります。

 しかも、こはぜ屋の特許2の残存期間は、15年以上あるので、
 Felix社が低弾性シルクレイを使用するためには、長期間、
 こはぜ屋のライセンシーである必要があるので、
 こはぜ屋がFelixの融資を返済して企業体力を回復又は強化できてしまえば、
 逆に、こはぜ屋がFekixを切って、より条件のよいライセンシーと契約してもよく、
 極めて有利な立場になります。
 
■第8話■第9話■第10話■
 ということで、特許の無名塾版『陸王』では、
 表向きはドラマとほぼ同じ流れになりますが、

 第8話のこはぜ屋・宮沢社長と飯村氏の心理的葛藤は、
 こはぜ屋が特許権を4つ持つことにより、飯村氏のウェートが相対的に低くなり、
 こはぜ屋のFelix社対策を念頭に置いた知財戦略が中心にるでしょう。

 第9話の宮沢社長とFelix社の御園社長(松岡修造)との交渉は、
 宮沢社長の心境は、ドラマほどシリアスではなく、
 特許権をもつビジネス上の優位性を身をもって感じるという設定になるでしょう。

 第10話は、豊橋国際マラソンでの茂木選手の活躍で大団円となります。
 そして、ドラマと同じように、『陸王』を履いた茂木選手を、、
 大橋課長(馬場徹)のように、西島弁理士と秘書(石田ゆり子)が、
 TV中継を見ながらの熱くハグしながら応援するという場面で終わることでしょう。

■エピローグ■
 以上を見ていくと、TVドラマ『陸王』は、
 技術がコンセプトの中核にある新しい商品の開発を題材にしながら、
 関係する誰一人として特許化することを考えない、という、
 ほとんど空想科学小説の世界としか思えません。

 ドラマのように、宮沢社長が、弁理士に相談もせずに、
 『陸王』の試作品を無防備に外部に見せて回ることは、
 それだけで、『陸王』の特許化が困難になるだけでなく、、
 アトランティス社やFelix社のような巨大企業であれば、
 『陸王』試作品を見て、逆に先に特許出願して特許権を取得して、
 こはぜ屋が『陸王』を実施できなくなる、などというリスクに繋がり、
 こはぜ屋の倒産に直結しかねません。

 知財関係者の中には、このような場合、
 こはぜ屋は先使用権の範囲で実施できるから大丈夫、
 と条件反射的に説明する方も多いのですが、先使用権の主張は、
 アトランティス社の特許を侵害していることを自白していることになり、
 裁判で認められなければ、特許侵害を否定できなくなり、
 何と言っても、それ以上の改良ができなくなることもありえ、
 非常にリスクのある主張です。

 こはぜ屋が下手をすれば倒産に直結するような目にあわないのは、
 こはぜ屋サイドだけでなく、
 敵対的なアトランティス社とFelix社も、全く知財戦略を考えないためで、
 まず現実にはありえないということになります。

 特に、こはぜ屋の融資担当の坂本の設定が酷く、
 こはぜ屋の社長のメーカー志向が強ければ、
 当然に特許戦略を結びつけてこはぜ屋を評価しなければならないでしょうし、
 坂本はベンチャー企業を顧客とする融資ファンドに転職するのですから、
 特許戦略が不可欠なベンチャー企業に、身売り話だけ持って行っては、
 顧客から愛想をつかされます。

 また、一張羅の装置の特許権で一攫千金を狙うという飯村なる特許権者の描写も、
 いったい、いつの時代の話なのかと思ってしまいます。

******

 池井戸潤原作がドラマ化されてから結構な年月が流れていますが、
 TBSの総力を挙げてこの程度の脚本しか作成できず、
 このドラマを見た特許庁を含む多くの知財関係者が、
 「『陸王』から学ぶ・・・」なるネット記事を挙げながら、
 ドラマ『陸王』から何かを学んでいる(何か学ぶべきものがあるのでしょうか)
 という状況をみると、
 我国の知財制度の将来を悲観せざるをえないような気分になります。

 というわけで、『陸王』は、なりたての弁理士のための
 知財コンサルティングの練習用の素材としてとても良いと思うので、
 空想をたくましくして、こはぜ屋を知財コンサルティングすることをお奨めします。
posted by Dausuke SHIBA at 09:34| Comment(0) | TrackBack(0) | TVドラマ