2016年04月24日

『北の大地の詩』と『幼年期の終り』

 表題の『北の大地の詩』の観劇報告をしたときに、
 この劇が土台としたアイヌ神話を即席調査して、
 下記のような粗筋であることを説明しました。

1.チキサ二姫らの神々が、未だ混沌とした大地に降臨し、
  大地から生まれ大地を支配していた魔神や悪魔を地底へと追いやり、
  世界を作り始め、やがて動植物や人間を作った。
2.天上でその様子をみていた雷神カンナカムイが、
  地上のチキサニ姫を見初め結ばれて神の子が生まれた。
3.降臨した中の神コタンコルカムイは、
  地上に築いた砦で神の子を育てる傍ら、洞窟に生活する人間に言葉を教え、
  知恵を授け、神の子が生まれたときにチキサニ姫に燃え上がった炎を授け、
  村を守護した。
4.神の子は、人間の子たちと育ち
  「輝く皮衣を着る者」」の意味「オキクルミ」と呼ばれるようになった。
  やがて人間は、洞窟を出て家を建て、オキクルミと共に道具を作り、
  火を使い、農耕する生活をしだした。
5.コタンコルカムイの予言に従い、
  オキクルミは人間を指導するリーダーとなり、
  天上から遣わされ隣村の水辺から迷い込んだ美少女神サロルン
  と恋に落ちた。
6.その頃、地底に追いやられた魔神(森うたう)が再び地上を襲い、
  隣村の水辺を暗黒に鎖してしまい、サロルンをさらい、
  そしてその暗黒が、オキクルミの村の水辺に到達しようとしてきた。
7.オキクルミは、村の危機とサロルンを救うべく、
  共に育った村の若者達と立ち上がり、父の雷撃に助けられ、
  魔神に操られる湖の巨大魔魚を格闘の末に退治し、魔神を一騎打ちして滅ぼす。
8.平和が戻った地上で、オキクルミはサロルンと結ばれ、
  人間と共に村の幸せに力を尽くすのだった。
9.しかし、長年月後、人間の堕落にあきれ果てたオキクルミは、
  いつか雷鳴と共に人間を見舞うとの言葉を残して姿を消してしまい、
  人間は深く後悔するも、雷鳴が鳴り響くと、
  オキクルミが来ていると信じて拝むようになった。

******

 この粗筋から、以下のような疑問がいろいろと湧きます。

(1)大地は、
   天上の神々がいたときからあったのか? あるいは、
   天上の神々によって創造されたのか?

   世界の神話をみても、
   大地は神によって創造される場合が多いので、
   ここでもそのようにしておきましょう。

   もし、神と共に既にあったのであれば、それは、
   アイヌ神話に独創性があることを示すのかもしれず、
   1つの研究対象になるように思います。   

(2)天上の神々が大地を創造したのであれば、
   何のために創造したのか?
   何故、わざわざ神でなければ抑え込めないほど
   絶大な力をもつ魔神や悪魔が生まれるように設計したのか?

(3)天上の神々は、何故人間を作ったのか?   
   上記(2)の回答にも関係しそうであるが、
   大地と魔神や悪魔は、人間にとって必要だから存在するのか?
   魔神や悪魔は、人間にとって必要なのであれば、
   何故、退治される必要があるのか?

(4)天上の神々のうち、何故2神だけが生殖能力をもつのか?
   生殖能力をもつ神は、後から発生した神なのか?

(5)何故、オミクルミを生んで育てることにしたのか?

(6)サロルンは、最初からいた神々の一人なのか?
   オミクルミのように、生殖能力のある神々が生んだのか?

(7)人間は何故堕落するのか?

(8)オキクルミはあるところまでは成長するが、それ以降は不死なのか?

 こういったことを考えていたら、
 アーサー・C・クラークの「幼年期の終り」が
 (私は創元推理文庫「地球幼年期の終わり」を読みましたが)、
 アイヌ神話とよく似たシチュエーションなのかもしれず、
 あれが1つの答えかもしれないと思いました。

 
タグ:アイヌ神話
posted by Dausuke SHIBA at 15:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台・ライブ
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