2016年07月10日

『64-ロクヨン-』(前編)(2016-4-29)

 お客様からときどき映画の試写券をいただいており、
 とても嬉しく見に行っているのですが、
 今回は話題の『64-ロクヨン-』(前編)を、
 ゴールデンウィーク開幕の休日という、
 なんとも贅沢な日に見ることができました。

 最近は本もTVも見たり読んだりしていなかったのですが、
 横山秀夫原作で相当に話題になっていたのは知っており、
 年齢を重ねるごとに味わい深くなっている佐藤浩市主演なので、
 予備知識なく見るのもいいかな、という思いでありました。

 試写会場は内幸町のイイノホール
 高校生の頃、ラジオの試写券プレゼントに応募して、
 結構それが当たってイイノホールにも行ったものですが、
 もうあの頃のうらぶれたビルではなく、
 現代的な高層ビル内の1000人ほどは入れそうな
 巨大な多目的会場となっていました。

 開場前から長蛇の列でしたが、会場も広いので、
 まずは前の方の席に陣取ることができました。

 試写会場は、広い舞台の奥にスクリーンがあるので、
 前の方でみてちょうどよいと思っています。

******

 さて、映画ですが、
 このテンションが後編まで続けば
 今年のベスト1を争う傑作になったと思いました。

 試写会で、エンドロールがでたとたん、
 盛大な拍手が湧きおこりました。

 前編だけに伏線だらけなのですが、
 伏線に絡む男優たちが絶品です。

 何と言っても佐藤浩市がかっこよすぎます。
 これは、試写会場で配布されたパンフレットから引用しましたが、
 他の共演者も主役級ですが、佐藤浩市でなければ様になりません。
試写会場配布パンフ.jpg

 彼の親父にとっての『飢餓海峡』がそうだったように、
 佐藤浩市にとっての代表作になるのではないでしょうか。

 群馬県警勤務の三上義信(佐藤浩市)は、
 昭和64年の少女誘拐殺人事件(64事件)の担当刑事なるも、
 事件は未解決となり、忸怩たる思いのまま、
 事件から15年後に、
 不本意ながら事務方の公報担当官に異動となる。

 群馬県警の活動の広報官として、
 県警に駐在する記者クラブに誠実に対応するも、
 県警サイドの情報操作によって梯子を外され、
 情報操作に我慢ならない記者クラブに突き上げられ、
 事務方上層部からは無能呼ばわりされ、
 刑事方上層部からは裏切り者扱いされ、
 彼の娘にまで愛想を尽かされる欝々とした日々。

 それらに加え、
 未解決となっている64事件のトラウマに縛られ続ける
 当時の同僚刑事達との苦い交流、
 後遺症に苦しみ人生が狂ってしまった家族などの関係者
 に翻弄される日々。

 あんなつらい男の日常は、
 佐藤浩市でなければ、耐えきれません。

 しかし、不屈の佐藤浩市の、
 全てに立ち向かい、そして砕けそうになる姿は感動的です。

 今年の主演男優賞はほとんど決まりです。

 そして、今年の助演男優賞を、
 この中から誰が取るのだろう、と思えるほどの、
 こいつらは演じているのか? と思うほどの芸達者ばかり。

 佐藤浩市の組織上の上司であり、
 佐藤浩市に左遷宣告する、これ以上になく感じの悪すぎる
 事務方トップの警務部長である滝藤 賢一、

 佐藤浩市に意地悪く情報を出さない、
 ほとんどヤクザの刑事部長である奥田瑛二、
 
 64事件当時の直属上司で、
 今は、奥田瑛二の右腕になっている、
 薄気味の悪い刑事方課長である三浦友和、

 滝藤 賢一と奥田瑛二の上司の県警本部長で、
 警察官僚の底意地の悪さをここまで極められるのかと思える
 県警本部長である椎名桔平
 (めずらしく悪役を喜々として演じてます)、

 娘が惨殺され、妻にも先立たれ、
 人生の不条理に打ちひしがれながらも、
 何を考えているかわからない、
 64事件の被害者少女の父親である永瀬正敏、

 64事件当時の失敗捜査の責任を被せられ、
 今ではスーパー警備員をしながら妻子を養うも、
 一癖も二癖もあってしたたかそうな元警官である吉岡秀隆、

 64事件当時の担当官で、今も、
 吉岡秀隆を監視する仕事をやらされ、
 人生が破綻しそうな警官である筒井道隆、

 佐藤浩市を苛め抜く記者クラブのリーダーである瑛太。

 これだけの主演・助演男優と、
 女優としてただ一人渡り合うのが、
 娘の失踪によって、家庭崩壊の瀬戸際に苦しみながら
 夫を支える佐藤浩市の妻である夏川結衣。

 夏川結衣は、本当に怖いほど上手い!
 今年の助演女優賞は確実と思います。

******

 ちょっと残念なのは、
 脚本と演出が原作に頼り切っていそうな点と、
 一気に前後編をみせない点。

 佐藤浩市が頑張っているのに、
 涙の押し売り的な演出が甘すぎます。

 『天国と地獄』のように、
 ラストに犯人の慟哭をもってくる演出や、
 一気呵成に2時間半を見せ切る映画体験を、
 客に提供してもよいのではないでしょうか。

 入れ替えでもいいから、一日で最後まで見たかった
 (すいません、試写会で贅沢言って)。

 ということで、今回の男優・女優をみると、
 最近、映画によく出る、
 江口洋介、竹野内豊、西田敏行、鶴瓶とかは素人にみえるし
 (鶴瓶は実際に素人ですが)、

 今回の俳優の中で唯一(鶴瓶よりマシな)素人の赤井英和が、
 やっぱり素人にしか見えないというほど、
 日本映画の役者の質の高さを存分に味わえる、
 久々の力作でありました。
タグ:佐藤浩市
posted by Dausuke SHIBA at 12:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画
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