2017年02月21日

『朗読劇 こころ』新宿より漱石に愛を込めて(その3)

〔朗読劇 こころ〕
●開幕前●
 イケメントリオの一人、プロパフォーマーの関井君が渋くサックスを演奏し、
 劇団3人娘の一人の高木さんがピアノ演奏をしてくれました。
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 高木さんは、天辰座長が好きな曲だというだけの理由で、天辰座長に指示されて、
 お気の毒にも『エリーゼのために』を何回も弾いてくれました。
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 天辰座長が、厳しい表情で、劇団3人娘の広岡さんと榎本さんに最後の指示を出しています。
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 舞台側の全景です。
 手前のウクレレは天辰座長がミュージカルシーンで音合わせに使います。

 右端の白髪の紳士は、出演を予定していたのですが、
 無念にも体調の関係で本番の出演を断念されました。
 せめて舞台側で時間を共にしたいとして、最後まで観劇されました。
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 会場側の全景です。
 当所の予想50人を大幅に上回る公称200人を超えようかという盛況です。
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 私のような天辰先生との義理・人情関係者だけでなく、
 新宿区内で『朗読劇 こころ』のチラシを見て興味をもった方、
 新宿区のHPをご覧になった新宿に以前住まわれていた方、
 文化・社会活動繋がりの皆様方、
 等々、新宿に根付く文化の総力が結集したようで壮観です。

●後編の開幕●
 昨年末に前編(私は時間が取れず観れませんでした)、今回が後編と完結編です。
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 各場の要所要所で、登場人物の心象風景を反映したミュージカル仕立ての歌唱・群舞が入ります。

 しかし、こんな古い歌ばかりで、若いメンバーがよく付いていったと思います
 (歌の年代とほぼ同じ年代層が圧倒的に多い観客側は大いに満足されていました)。
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 舞台に向かって右端で、天辰座長が演出・進行・ウクレレ演奏をしています。

 画像には写っていませんが、舞台に向かって左端で、
 猪爪さんと早乙女さんが全体の進行をリードするナレーションを行い、
 天辰座長の脱線気味の演出を鋭い眼光で監督しています。

 歌唱シーンです。
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●後編の見せ場●
 「若い頃の先生」(関井君)が東京の「お嬢様」(高木さん)にぞっこんなのを知らずに、
 故郷の「叔父さんB」(山崎さん)が自分の娘(広岡さん)を嫁にと申し出る場面。
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 「若い頃の先生」(関井君)が、叔父さんに、
 娘とは幼馴染で恋愛の対象にならない、と言い切り、
 それを聞いた叔父さんの娘(広岡さん)が泣き崩れる場面。

 朗読劇中、唯一の過剰演技場面で、
 広岡さんの性格俳優ぶりが遺憾なく発揮されています。

 天辰座長がその演技に感激して、もう1回再現するようにと暴走し出して、
 広岡さんも見事にその暴走演出に応え、観客が大喜びしていました。
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 「若い頃の先生」(関井君)が、
 「お嬢様」(高木さん)の「K」(松澤君)との二股愛を疑うドロドロ場面。

 「お嬢様」(高木さん)の母を、森田さんがミステリアスに演じてます。
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 森田さんのソロ歌唱の場面。
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 後編までで、「こころ」の原作は終了。
 完結編前の休憩時間に入念に原稿をチェックをする天辰座長。
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●完結編●

 後編で、原作の最後まで行きついてしまうのですが、
 天辰座長のオリジナルによる完結編が用意されていました。
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 「K」の自殺と「今の先生」の自殺には謎があり、実は・・・

 ということなのですが、その謎の1つとして、
 かつての「K」と「若い頃の先生」は実はBL関係だったのではないかとか、
 「今の先生」と「私」も実はBL関係だったのではないかとか、
 これだけイケメン(但し、三雲先生は除く)が勢ぞろいすると、
 天辰座長の演出の意図を離れて、
 何か『リーガルハイ』の小御門先生と羽生君のような関係が示唆されてしまいます。

 最後の千葉の崖淵の場面は、主要な登場人物が出揃い、
 土曜ワイド劇場の探偵による最後の謎の解明の場面のようでスリリングです。

 夏目漱石は、『エマ』や『高慢と偏見』で有名なジェーン・オースティンの影響
 を受けているとも言われており、
 ジェーン・オースティンの小説には相当にミステリーの要素がありますので、
 天辰エンディングもありかと思われます。

●完結編のフィナーレ●

 惨劇を極めた「先生」「K」「私」の事件から20年後、
 登場人物の人生に、何故か平和な時が訪れ『うれしいひなまつり』が合唱されます。
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 天辰座長が、天国の漱石から頼まれたというハッピーエンドを形にした、
 平和を願う『ハッピーバースデー 夏目漱石さん』と『憧れのハワイ航路』の
 会場の全員による合唱によって、2時間半にわたる超大作は幕を閉じたのでした。
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●客席の講評と出演者の挨拶●

 客席には、著名な漱石研究の大家もいらっしゃり、
 天辰演出に相当に戸惑われたご様子ですが、
 いずれの方も、アマチュアリズムを尊重して楽しまれ、暖かい講評をされていました。

 出演者挨拶では、先にお話したように榎本さんの涙が感動を誘ったり、
 本田君が予想しなかった質問に完全に詰まって会場全体が沈黙に包まれるなど、
 楽しい幕引きとなりました。

 なにか既視感があるなと思ったのですが、
 これは、昨年試写で観た『オケ老人!』そのままではないですか。

 オーケストラでバイオリンを弾く夢を追った杏が、
 間違えてよぼよぼの老人オーケストラに入団し、
 入院した指揮者の老人(笹野高史)に騙されて、指揮者を引継がされ、
 3年間の悪戦苦闘の末に公民館での演奏会を成就するという感動的な映画でした。

 天辰座長と劇団天辰のこの3年間の努力は、
 杏とそのオーケストラの『オケ老人!』に匹敵するでしょう。

 天辰座長と杏では、やはり杏の方がずっと素敵ですが、
 映画化してくれる人がでてくるかもしれませんね。

〔エピローグ〕
 高田馬場駅にすぐ近い「磯丸水産」の打上にもお供しました。

 劇団3人娘と森田さんが、何故か私の前と両横に座ってくれて、
 もうこの先、このようなシチュエーションはないなという嬉しい状況で
 漱石研究の代表的な研究者のお一人である東京外語大の柴田先生の薀蓄を肴に、
 美味しい日本酒を呑みながら、
 天辰先生と、念願成就を祝い硬い握手を交わすことができました。

 また、隣の机に座られた、80歳を超えて矍鑠とした
 『漱石山房』の近藤理事長(東北大学OB)と加藤副理事長(早稲田大学OB)の、
 漱石と東北大学、早稲田大学との関わりについてのご経験に基づく貴重なお話を伺うことができました。

 近藤理事長・加藤副理事長より二回り若く、お酒が入って絶好調の柴田先生による、
 漱石の時代の世界の戦争状況の解説を受けて、
 二十歳の榎本さんが、昨年、何かの文化映画会で、、
 「その頃の戦争に巻き込まれて軍部に虐げられた女の人が最後飛行機で逃げる」
 という映画を観て感動したという話をし出したのです。

 どこかで聞いた話と思い、私が、
 「女は結構身勝手で、かっこいいおじさんが女を助けるのだけれども、
 夫と逃げるでしょ?」と聞いたら、
 「そうです」との回答だったので、「それは、きっと『カサブランカ』だよ」
 となり、榎本さんがさらに「あの男の人かっこいいですよね」となったので、
 柴田先生と私は大笑いしてしまいました。

 孫に近い劇団俳優の卵にとって『カサブランカ』などは、
 どういう時代にみえるのだろうと妙な感慨に耽ってしまいました。

(終わり)
タグ:夏目漱石
posted by Dausuke SHIBA at 14:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台・ライブ
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