2020年01月04日

『朗読劇ミュージカル 三四郎』新宿より漱石に愛を込めて2(その4:第2幕〜第4幕)

 夏目漱石生誕150年を前にした2017年2月19日に、
 新宿区戸塚地域センターで公演された『朗読劇 こころ』に続き、
 劇団天辰の朗読劇公演第2弾『朗読劇 三四郎』が下記日程で行われました。

 ■日時:2019年12月8日(日)午後2時〜4時
 ■会場:漱石山房記念会館 地下1階講座室
 
 前回までに、
 ⓪当日の10日前の漱石山房記念会館でのリハーサル風景、
 @当日の、柴特許事務所から漱石山房会館までの街の風景、
 A当日の、開場前の緊張した直前練習の風景、そして、
 B開幕から第1幕までをお届けしました。

 ⓪『朗読劇ミュージカル 三四郎』新宿より漱石に愛を込めて2(予告編)
http://patent-japan.sblo.jp/article/186866016.html
 @『朗読劇ミュージカル 三四郎』新宿より漱石に愛を込めて2(その1:漱石山房記念館まで)
http://patent-japan.sblo.jp/article/186920696.html
 A『朗読劇ミュージカル 三四郎』新宿より漱石に愛を込めて2(その2:緊張の開場直前)
http://patent-japan.sblo.jp/article/186989837.html
 B『朗読劇ミュージカル 三四郎』新宿より漱石に愛を込めて2(その3:開幕から第1幕)
http://patent-japan.sblo.jp/article/186990151.html

■本朗読劇の幕場は以下の通りです。
 《第1幕 上京》
  第1場 上野のお花見
  第2場 貴社の中の三四郎
  第3場 名古屋の宿
  第4場 東京に向かう東海道線の車中
 《第2幕 東京帝国大学(赤門)》
  第1場 池の二人の若い女
  第2場 リボン
 《第3幕 新学期》
  第1場 佐々木与次郎
  第2場 広田先生の家
  第3場 仲良くお掃除
 《第4幕 団子坂・菊人形》

 今回は、第2幕から最終の第4幕までをご紹介します。

******

《第2幕第1場・第2場》
 
■三四郎は、東京帝大理科大学の研究室に、
 地元の知り合いの従弟である野々宮を訪ねて、
 東京生活についていろいろとアドバイスを受け、望遠鏡談義に興じる。
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 三四郎を演じる松澤君は、法学部大学院の24歳の学生さんで、
 『朗読劇 こころ』でも重要な脇役を演じましたが、
 今回は主役に抜擢されました。

 顔は明治の二枚目で、声もよく通り、はまり役なのですが、
 背が高すぎて、当初の下駄履きの予定が、草履でも違和感なしとなりました。

 野々宮を演じる野口君は、劇団「東京娯楽特区」で演出の広岡さんにしごかれている
 20歳の学生さんですが、舞台に立って、髭を生やした野々宮になった途端、
 目力のある迫力のある演技をしていました。

■三四郎は、野々宮の研究室を出た後、東京帝大工科大学の近くの池端で、
 看護婦と散歩する美禰子を見ることになる。
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 美禰子を演じる土田さんは、元々モデルさんで現在はミュージカル女優
 ・少し前の彼女→https://ameblo.jp/wkn829nkw/
 (天辰座長・松澤君とはこの頃からのおつきあいなのですね)
 ・今はTwitterが拠点です→https://twitter.com/2wkn_nkw9?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

 美禰子役はこのくらい花のある女優でないと成立しないのですが、
 天辰座長はとっておきの隠し玉の美女を用意していたのですね。

 看護婦を演じた飯長さんは、人形衣装作家(https://wearme.exblog.jp/30117848/
 で、お芝居の活動もされているとのことです。

■三四郎は、再び野々宮と合流して、池の景色と雲談義に興じる。
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■しかし、三四郎の頭の中は美禰子のことばかり。
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《休憩》
 
■来場された方々の平均年齢が高めなので、天辰座長が、
 ここで、ストレッチ体操をしましょうと呼びかけ、全員で体を動かすことに。
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《第3幕第1場・第2場・第3場》
 
■三四郎は、新学期が始まった東京帝大法科大学に出席して、
 原作では最後まで友としてつきあうことになる与次郎と出会う。
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 与次郎を演じた広岡悠那さんは、
 『朗読劇 こころ』でのオーバーアクションが注目された演技派で、
 今回は念願の男役ができると、気合が入っておりました。

 広岡さんは、またの名を広岡凡一、劇団「東京娯楽特区」の主催でもあり、
 2020年1月5・6日には、初めての単独演出となる、
 カレル・チャペックのロボットSFの古典『R.U.R』が公演されます
 → https://www.tokyogorakutokku.com/blank-4

■三四郎は、与次郎の紹介で、英語講師の広田先生と会うことに。
 三四郎が、広田先生の自宅に訪ねると、
 広田先生が東海道線で乗り合わせた怪しい男であることがわかり、
 再び哲学問答に付き合わされることに。
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 広田先生を演じる伊藤博之さんは、芝居・踊り・女装バレエ・・・と多彩な趣味で、
 明治の怪しいインテリにぴったり嵌ります。

■三四郎と与次郎は、広田先生の自宅を掃除する羽目になるが、
 そこに、やはり掃除の手伝いに駆り出された美禰子と会うことに。
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《第4幕》

■広田先生・野々宮・三四郎・美禰子は、
 文京千駄木の団子坂の菊人形を見に行くが、見物の群衆の中で、
 三四郎と美禰子は、広田先生らとはぐれてしまい、
 静かな広場の石橋の近くで、二人だけのデートをすることに。
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 雲談義に花を咲かせながら、ぬかるみの飛石伝いに歩く二人だが、
 美禰子は、飛石に足を取られそうになり、
 先を行く三四郎が手を差し伸べているその懐に飛び込んでしまう。
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■三四郎の腕の中に抱かれた美禰子が「ストレイシープ・・・」と呟いたところで、
 前編の了となります。

■原作では、まだ前半の段階で、
 三四郎は、これから美禰子に本格的に翻弄されるのですが、
 三四郎が新しい世界でさらなる人生の波に揺さぶられであろう予感の中で
 終わらせるのも余韻が残りとても良いと思います。

■最後の出演者全員による御挨拶と、振付の尾上先生のご挨拶。
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■出演者と観劇された方のTwitterも紹介します。
 榎本舞咲さん→https://twitter.com/mayanikoniko/status/1207226451495280640
 土田若菜さん→https://twitter.com/2wkn_nkw9/status/1203835304852873216
 観劇者の方
  →https://twitter.com/kurochanf/status/1203685955225280513/photo/1

《半世紀ぶりの『三四郎』》

 天辰座長との腐れ縁で、前回の『朗読劇 こころ』に続いて、
 今回の『朗読劇 三四郎』
 (ブログ上は『朗読劇ミュージカル 三四郎』にさせていただきました)
 を、勝手気ままにブログ記事とさせていただきました。

 天辰座長と出演者の皆様には深く感謝申し上げます。

 夏目漱石の小説は、もう半世紀近く前になりますが、
 私が高校・浪人の頃に、いまだに未読の『明暗』以外を読んでおり、
 何と言っても現代国語の試験勉強が楽だったことを思い出しました。

 また、半世紀ぶりに、朗読劇として声を通して接すると、
 夏目漱石の小説を最初に読んだときの印象がまざまざと蘇るだけでなく、
 その蘇った部分をみると、改めて、
 夏目漱石の小説に見た私の心情がわかるような気がします。

******

 私は、夏目漱石の小説は好きですが、中でも、
 前期三部作『三四郎』『それから』『門』が好きで、
 後期三部作『彼岸過迄』『行人』『こころ』よりも強く印象に残っています。

 前期三部作までの夏目漱石の小説は、、
 小説と時事評論がないまぜになったエッセイに近かったり、
 社会風刺の色彩が強い群像劇であったり、
 『虞美人草』では現代にも通じる強烈な個性の女性を登場させたりと、
 小説の可能性を色々と試行錯誤して習作として腕を磨いていた、
 というようにも思えます。

 その準備の上で前期三部作が開始され、その第1作の『三四郎』が、
 田舎から上京した若い大学生の瑞々しい青春小説だったことが、
 ちょうど同年代で読んだ私の心を直接響かせることになりました。

 三四郎の心理が、色彩感覚(それもフランス映画のような原色感覚)
 溢れる言葉の連なりと、魅力的な女性像の上で描写されており、
 小説として非常に洗練されていると思います。

 前記三部作の『それから』『門』にも、
 この色彩感覚溢れる瑞々しい描写が十分に残されていると思うのです。

 『それから』のラストの万華鏡のような色彩描写は本当に美しく、
 いまだに強烈に印象に残っています。

 前記三部作は、
 精神的に若く、ストレイシープ状態が続く若きインテリを主人公にしており、
 三四郎は独身なので当然ですが、
 代助と宗助は不倫相手と同棲しているわけですから、
 女性がミステリアスな恋愛の対象として憧憬する要素が大きく、
 三四郎・代助・宗助から見た女性たちが魅力的なのは必然ともいえます。

 後期三部作になると、手紙を多用する物語の構成がパターン化して、
 重要な心理描写が手紙を通して描写され、夫婦間には互いを憧憬する要素がなく、
 前記三部作にあるような色彩感覚と瑞々しさは失われているように思います。

******

 私が夏目漱石を集中的に読んでいた同じ時期に夢中になった
 黒澤明監督の映画や、村上春樹の小説にも同じような感じをもちますが、
 この話をしだすと長くなりますので、また別の機会に。
posted by Dausuke SHIBA at 16:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台・ライブ
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