2020年05月31日

『続・仁義なき戦い 検察vs官邸〜違法人事の果て〜』ますます今後の映画化を期待

■前回までの粗筋■
 詳細は『仁義なき戦い 検察vs官邸』をご欄下さい。

 《仁義なき戦い第1話》では、現行法下での検察庁の思惑として
 稲田検事総長が、名古屋高検の林検事長を次期検事総長含みで、
 東京高検検事長に転任させようとしていた、
 と言われていた状況を説明しました。
@検察庁法改正.jpg

 《仁義なき戦い第2、3、4話》では、
 官邸は、稲田検事総長の意に反し、
 東京高検の黒川検事長を次期検事総長にするために(推測ですが)、
 黒川検事長の半年間の定年延長を「閣議決定」し、
 さらに、国家公務員法の定年延長規定を検事にも適用して、
 稲田検事総長が定年退職するまで黒川検事長の定年を延長できるように
 (推測ですが)、国家公務員法及び検察庁法の解釈変更を行いました。

 《仁義なき戦い第5話》では、官邸はさらに、
 黒川さんが検事総長就任後も、延々と検事総長を続けられるように
 (推測ですが)、検察庁法改正に手をつけたのでした。
D検察庁法改正.jpg

■続・仁義なき戦い 検察vs官邸〜違法人事の果て〜■

《続・仁義なき戦い第1話:官邸の野望潰える》
 検察庁法改正案について国会質疑が開始されると、Twitterで、
 「#検察庁法改正案に抗議します」の史上空前の1000万ツイートがなされ、
 コロナ禍における国民的話題となり、
 官邸は、検察庁法改正案の今国会での見送りを決定せざるをえませんでした。

 しかし、官邸は、検察庁法改正を廃案にはせずに、
 次期国会で再度の提出を虎視眈々と狙っていたのでした。

 が、ここで、黒川さんが賭け麻雀をしていたことが週刊誌にすっぱ抜かれ、
 黒川さんは敢え無く辞職するという急転直下の出来事が起こり、
 黒川さんを検事総長に据えるという官邸の目論見は潰えてしまいました。

 そして、名古屋高検の林検事長が黒川さんの後任に決まり、
 検察庁の当初の目論見通りの流れに戻るかのように見えるのでした。
F検察庁法改正.jpg

 NHKがここまでの経緯を解りやすく説明しています
 → 『検察庁法案 見送りの顛末

《続・仁義なき戦い第2話:官邸の逆襲》
●黒川さんの処分を巡る混乱●
 しかし、ここで、官邸は、野党・メディア・国民に対して、
 絶妙な癖玉を投げてきたのでした。

 即ち、官邸は、賭け麻雀をした黒川さんに対する処分を、
 法務省の内規に基づく訓告とし、
 自己都合退職による退職金5900万円を支給するとしたのです。

 野党・メディア・国民から、
 右向き三角1この処分は甘すぎる、
 右向き三角1黒川さんには、国家公務員法に基づく懲戒免職を適用すべきであり、
 右向き三角1退職金も大幅に減額すべきとの批判の嵐が起こったのでした。
 →『野党合同「国体ヒアリング」黒川前検事長の処分について

●官邸の仕掛けた黒川さんの訓告処分のどこが癖玉なのか●
 官邸の黒川さんへの処分に対する批判者の代表的な意見は、
 黒川さんに、
 国家公務員法の懲戒免職規定を適用すべきではないかというものです。

 しかし、黒川さんに国家公務員法を適用してしまうと、
 官邸が黒川さんの定年を延長した違法人事を合法化することに
 批判者自らが加担してしまうことに気が付くべきです。

 批判者は、官邸の「閣議決定」と「解釈変更」は、いずれも、
 検事の定年には適用できない一般法である国家公務員法を強引に適用したもので、
 特別法であり優先的に適用されるべき検察庁法に違反する違法人事である
 と主張していました。

 そうであれば、違法人事に基づいて定年後も検事長を務めている黒川さんは、
 法的には「検事長」でないばかりでなく、「国家公務員」でもないので、
 国家公務員法の懲戒免職規定を適用できないだけでなく、
 黒川さんは定年退職時の退職金を満額受け取れることになります。

 それなのに、
 黒川さんに国家公務員法の懲戒免職規定を適用し、加えて、
 退職金を大幅に減額するのであれば、
 黒川さんは、賭け麻雀をした時点で、合法的かつ正規に、
 「国家公務員」かつ「検事長」であることを認めなくてはならなくなり、
 結果として、批判者は、
 官邸の「閣議決定」と「解釈変更」が合法であったことを追認することになります。

 ここまで官邸が考えているかどうかは別として、
 相当に癖玉を意識的か無意識的に投げてきたため、
 批判者側は批判対象をミスリードする議論を自ら引き起こしているように見えます。

●黒川さんはそれほど悪いことをしたのか●
 黒川さんは、定年退職時までは、個々の政策について議論はあるにしても、
 違法なことをしていたわけでなく、
 優秀な検察官僚として衆目の一致するところであったようです。

 黒川さんは、違法人事により、定年延長されて、
 定年後も東京高検「検事長」の職をしていましたが、辞職する日まで、
 賭け麻雀をしたこと以外に特段問題のある仕事ぶりではなかったようです。

 考えてみれば、違法人事は本来無効ですから、定年後の黒川さんは、
 「検事長」はおろか「国家公務員」でもない一民間人にすぎず、
 「検事長」の職は、黒川さんを契約職員として雇用した国が、
 雇用者として契約職員の黒川さんにさせたものということになります。

 そうであれば、黒川さんは、
 賭け麻雀に対して賭博罪の適用を判断されることはあっても、
 それ以上に何か非難されるようなことは何もしていなかったといえます
 (黒川さんは、スピンオフエピソード『仁義なき戦いー広島死闘篇−』でも
  特段の悪役は演じていないように思います)。

 なお、そうは言っても、園田先生の考察の観点からは、
 黒川さんの闇は、実はもっと深いともいえます。
 →『黒川弘務元検事長の賭け麻雀については擁護したい

《続・仁義なき戦い第3話:違法人事を見逃すな》
 野党・メディア等の政権に対する批判者は、
 黒川さんの訓告処分の適否のような不毛な議論に時間を使わず、
 あくまで、違法人事そのものの影響についてもっと検討すべきと思います。

 黒川さんの定年延長という違法人事によって、
 黒川さんが辞職するまでに決済した文書は全て無効となり、
 この間の検察行政が完全に崩壊しており、
 法治国家としてあってはならない法的な空白期間が存在しています。
G検察庁法改正.jpg

 従って、この期間の検察行政の崩壊状態を修復するために、
 少なくとも以下のことはしなければならないと思います:
 右向き三角1後任の林検事長の就任時期を、黒川さんの定年退職日翌日まで遡及させる;
 右向き三角1黒川さんが定年延長後にした決済文書の決済を林検事長が全てやり直す。
 
 この作業によって、法治国家としてあってはならない空白期間を
 埋め合わすことができるのではないでしょうか。
H検察庁法改正.jpg

《続・仁義なき戦い最終話:裁かれるべきは何か》

 明治時代以降の近代法治国家たる我が国の憲政史上、
 あってはならない法的空白期間を生じさせたのは、黒川さんではなく、
 官邸による違法人事に他ならないことは否定のしようがありません。

 スピンオフエピソード『仁義なき戦い−代理戦争篇−』で、
 政府を提訴した方によるメモ
 「この2人は調査される側で、再調査しないと発言する立場ではないと思います
 は、今回の違法人事に対してもそのまま当てはまることであるように思います。
 「官邸は懲戒免職される側で、懲戒免職できる立場ではないと思います

 しかし、現状では、
 法が想定しない違法人事をした官邸の責任者を懲戒免職にする制度がありません。

 それでは、法治国家においていったいどのように考えたらよいのか、
 ということになりますが、この辺りが参考になるかもしれません↓
https://dot.asahi.com/aera/2018090600083.html?page=1

《スピンオフエピソード》
 『広島死闘篇』 ⇒ Xデーが注目されています
 『代理戦争篇』 ⇒ コロナ禍が一段落した今、再浮上するでしょう
 『頂上作戦篇』 ⇒ 弁護士600人の告発状が受理されるか
 『コロナ禍対策事業攻防戦篇』
  第1部:アベノマスク攻防戦こちらも凄まじい事態になっているようです
  第2部:持続化給付金攻防戦川内議員が追及するペーパーカンパニーシリーズ第2弾
 『五輪商標違法ライセンス篇

 今後の映画化のタネは尽きそうにありません。
posted by Dausuke SHIBA at 10:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画
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