2020年01月03日

『朗読劇ミュージカル 三四郎』新宿より漱石に愛を込めて2(その3:開幕から第1幕)

 夏目漱石生誕150年を前にした2017年2月19日に、
 新宿区戸塚地域センターで公演された『朗読劇 こころ』に続き、
 劇団天辰の朗読劇公演第2弾『朗読劇 三四郎』が下記日程で行われました。

 ■日時:2019年12月8日(日)午後2時〜4時
 ■会場:漱石山房記念会館 地下1階講座室
 
 前回までに、
 ⓪当日の10日前の漱石山房記念会館でのリハーサル風景、
 @当日の、柴特許事務所から漱石山房会館までの街の風景、そして、
 A当日の、開場前の緊張した直前練習の風景をお届けしました。

 ⓪『朗読劇ミュージカル 三四郎』新宿より漱石に愛を込めて2(予告編)
http://patent-japan.sblo.jp/article/186866016.html
 @『朗読劇ミュージカル 三四郎』新宿より漱石に愛を込めて2(その1:漱石山房記念館まで)http://patent-japan.sblo.jp/article/186920696.html
 A『朗読劇ミュージカル 三四郎』新宿より漱石に愛を込めて2(その2:緊張の開場直前)
http://patent-japan.sblo.jp/article/186989837.html

 今回は、開幕から第1幕までをご紹介します。
 写真はクリックすると鮮明に見ることができます。

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■会場は、用意した約50席がほぼ満席となり、天辰座長の挨拶から始まりました。
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■本朗読劇の幕場は以下の通りです。
 《第1幕 上京》
  第1場 上野のお花見
  第2場 貴社の中の三四郎
  第3場 名古屋の宿
  第4場 東京に向かう東海道線の車中
 《第2幕 東京帝国大学(赤門)》
  第1場 池の二人の若い女
  第2場 リボン
 《第3幕 新学期》
  第1場 佐々木与次郎
  第2場 広田先生の家
  第3場 仲良くお掃除
 《第4幕 団子坂・菊人形》

 天辰座長によると、当時の新学期は9月だったところを、
 本朗読劇では、時代考証に優先して、
 開幕の「さくら」にちなんだ歌と踊りを生かすために、
 新学期を4月にしたとのことでした
 (天辰座長が使用したの直筆メモが書かれたシナリオです)
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■劇団天辰の朗読劇は、ミュージカルの場面が随所に散りばめられるのですが
 残念ながら動画と音を再現できないので、配布された劇中歌集で、
 雰囲気を感じ取ってみて下さい。
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《開幕》

■開幕の歌と踊り「さくらさくら」です。
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■会場も一緒に歌います。伴奏は天辰座長の軽やかなウクレレ演奏です。
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■主役二人の和風デュオを遠目に。
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■助演は会場サイドで桜の見立てで。
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《第1幕第1場》


■天辰座長の一家が上野で花見をするところから始まります。
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■数年前に『朗読劇 こころ』を上演した天辰一家が花見するという設定で、
 天辰座長が父、豊永さんが妻、榎本さんが娘のはずなのですが、
 豊永さんが思い切り若作りするし、榎本さんは元々若いし、
 天辰座長がお祖父さんでちょうどよいくらいになってしまいましたが、
 気にせずに堂々と演じています。
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《第1幕第2場》

■花見をしながら、父が手に持った文庫本『三四郎』の話を娘にしだすと、
 早乙女さんのナレーションにより、
 場面は、明治時代の東海道線の車中の三四郎に繋がります。
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■ここで、また合唱です。
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■車中での、謎の女と男の会話。
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《第1幕第3場》

■名古屋で宿泊するために下車した三四郎は、宿を探す謎の女と同行することに。
 宿では、下女(飯長さんの二役)が男女の連れと思い込み、二人を案内する。
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■三四郎と謎の女は、女中が蚊帳の中に敷いた床を共にすることになるが・・・
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 謎の女を演じた古梅志穂さんは、本朗読劇の助演女優賞です。

 原作では謎の女の外観・声・話し方の描写はほとんど全くなく、
 読者が想像するしかないのですが、古梅さんは、
 何とも言えないムンムンとした色気がにじみ出てくる
 年増の玄人風の女を声の演技だけで表現しており、悩殺されました
 (24歳でこれでは、この先、おじさんキラー確実です)。

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 観劇している間は全く気がつきませんでしたが、念のため講釈を。

 この蚊帳の場面は当然に季節は夏の終わりであり、三四郎は東京に着いた後、
 9月に新学期に東京帝大に入学することになります。

 原作はその通りなのですが、本朗読劇では、新学期を4月に設定変更したので、
 春先に蚊帳を張ることになってしまうので、少し倒錯します。

 まだ寒さが残る春先の宿の1室に、二人連れの男女のために、
 厚手の布団が1つ敷いてあるという設定にしたら、
 この場の生々しい色っぽさがますます過激になってしまったかもしれませんが。

《第1幕第4場》

 何とか何事もなく一泊した名古屋から、三四郎は再び東海道線に乗りますが、
 そこで、怪しい男と乗り合わせ、延々と哲学問答に突き合わされ、
 東京に来たことを実感します。
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 三四郎が、福岡から電車を乗り継いて東京に到着するまでは、
 原作ではわずか20頁足らずなのですが、
 田舎者の三四郎が新しい世界に接触した際の新鮮な驚きが、
 ロードムービー的なエピソードの連なりで簡潔に的確に描写されます。

 夏目漱石はやはり小説が上手い!

 天辰座長も、このロードムービー的エピソードをとても丁寧に演出しており、
 原作の意図をきちんと読み取っています
 (天辰座長が演出に気をとられ、担当した駅員の声とかの背景音が、
  なかなか出て来なくて、出演者が焦る中、
  会場全体がなんとも言えない静寂に包まれたのはご愛敬でしたが)。

 次回は、三四郎が、東京帝大に行って、おかしな人たちと知り合い、
 そして、運命の美禰子と出会う第2〜4幕をご紹介します。

 



 
posted by Dausuke SHIBA at 16:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台・ライブ

『朗読劇ミュージカル 三四郎』新宿より漱石に愛を込めて2(その2:緊張の開場直前)

 夏目漱石生誕150年を前にした2017年2月19日に、
 新宿区戸塚地域センターで公演された『朗読劇 こころ』に続き、
 劇団天辰の朗読劇公演第2弾『朗読劇 三四郎』が下記日程で行われました。

 ■日時:2019年12月8日(日)午後2時〜4時
 ■会場:漱石山房記念会館 地下1階講座室
 
 前回までに、
 当日の10日前の漱石山房記念会館でのリハーサル風景と、
 当日の、柴特許事務所から漱石山房会館までの街の風景を
 描写してみました↓
 『朗読劇ミュージカル 三四郎』新宿より漱石に愛を込めて2(予告編)
http://patent-japan.sblo.jp/article/186866016.html
 『朗読劇ミュージカル 三四郎』新宿より漱石に愛を込めて2(その1:漱石山房記念館まで)http://patent-japan.sblo.jp/article/186920696.html

 今回は、当日の開場前の緊張した開場直前の練習風景をお届けします
 (画像は、クリックすると鮮明にみることができます)。

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■開場前のロビーでは、来場者が集まりだしています。
@開場前のロビー.JPG

■場内では、直前練習が始まっています。
A直前練習の場内.JPG

■緊張した面持ちの出演メンバー
B緊張した面持ち.JPG

C緊張した面持ち.JPG

D緊張した面持ち.JPG

●広田先生役の伊藤博之さんは、既に舞台衣装で気合十分ですが、
 セリフの覚えが・・・(若い広岡さんにコーチを受けています)。
●左から3人目は野々宮役の野口玲二君、右端は看護婦役の飯長有沙子さん
E緊張した面持ち.JPG

■天辰座長の最終確認です。
F緊張した面持ち.JPG

G天辰座長の最終確認.JPG
●左から(括弧内は尾上先生以外は役名)、
 天辰座長(座長)・広岡悠那(与次郎)・山口玲二(野々宮)・飯長有沙子(看護婦)
 古梅志穂(宿屋の女)・松澤拓也(三四郎)・土田若菜(美禰子)・榎本舞咲(座長の娘)
 山崎裕一郎(色々な男)・伊藤博之(広田先生)/尾上傑(振付)
●なお、榎本さんは、天辰座長の実の娘ではなく、
 劇中の天辰座長家族の長女役ということです。 

H天辰座長の最終確認.JPG

■いよいよ、舞台衣装に着替えて、皆(より)美しくなりました。

●美禰子役の土田若菜さん(中央)と宿屋の女役の古梅志穂さん(右)
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●座長の妻役の豊永實千代さん
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●ナレーションの早乙女とみえさん
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●与次郎役の広岡悠那さん(中央前)と振付の尾上傑先生(中央右奥)。
 広岡さんとすれ違ったロビーの来場者が「あれ!? 女の子だったの?」
L舞台衣装をまとって美しく.JPG

■そして、会場が次第にお客様で埋まりだしました。
Mお客様が入場しだしました.JPG

 次回は、開幕から第1幕までをお届けします。
posted by Dausuke SHIBA at 09:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台・ライブ

2020年01月02日

『カウンター・ポイント』米倉涼子のV・I・ウォーショースキーを見たい!

 私のブログでは映画・TVドラマ・舞台の話題が多いのですが、
 私がブログを始めた頃から、段々本が読めなくなり、
 それでも推理小説アンソロジー(要は短編集)は読んでいたのですが、
 それすら読むのが苦痛になっている今日この頃です。

 なお、その推理小説アンソロジーも、講談社ノベルスのベスト本格シリーズ
 『本格ミステリXX』→『ベスト本格ミステリ20XX』だけはと思い、
 毎年6月頃の発刊を楽しみにしていたのですが、
 昨年(2019年)、いつも買いに行く紀伊国屋書店(新宿本店)になく、
 店員に「売り切れなんですか? 講談社に聞いてみてくれませんか?」と聞いたら、
 店員は「お客様ご自身で講談社にお聞きになった方が確実ですよ」との、
 大書店の店員とは思えない無責任な回答なので、
 私が「これこれ、わかる人を呼びなさい」と上から目線で命じたら、
 手慣れたベテラン店員が「講談社に聞いておきます」とのことで
 「最初からそう言わんか」とまでは言わないで連絡を待ちました。

 翌日、ベテラン店員から電話があり、
 「やはり今年は発刊の予定はないとのことです」との回答で、
 改めて驚きましたが、本格系推理作家の団体「本格ミステリ作家クラブ」が
 20年以上継続していた短編傑作年鑑が、
 何の予告もなく突然に発刊が止まるというのは、
 クラブ内部の紛糾か、クラブと講談社との間のトラブルか、
 これ自体がミステリになりそうな何かあってのことでしょう。

 しかし、本格ミステリ作家クラブと講談社は、
 事の顛末を何らかの形で公表しなければ、20年間読み続け、
 今後も楽しみにしていた読者に対して失礼でありましょう。

《V・I・ウォーショースキー》

 今から30年以上前、私も会社勤めで、土日にはまだ本が読める余裕があった頃、
 当時の米国ハードボイルド小説界は、既に古典となっていた名探偵
 「サム・スペイド」「フィリップ・マーロウ」「リュウ・アーチャー」の御三家に対して、
 男性探偵では「スペンサー」「アルバート・サムスン」、
 女性探偵では「キンジ―・ミルホーン」「V・I・ウォーショースキー」「ケイ・スカーペッタ
 らが、現代感覚に溢れた探偵たちとして登場しました
 (携帯電話も普及していない頃の「現代感覚」ですが)。

 私も、さてどれから読むかという状態でありましたが、
 原作者のP・コーンウェルが美人だったというそれだけの理由で、
 「ケイ・スカーペッタ」シリーズから読みだしたのですが、
 最初の6作は面白かったものの、社会性・人間関係に深みがなく、
 猟奇サスペンスの域から出られず、
 ある作から主人公を突然若返らせて主人公の成長性の要素を壊してしまうので、
 さすがに読者の捨て置き感が目障りで読まなくなりました。

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 「ケイ・スカーペッタ」シリーズの合間に、当時、既に名高かった
 女性探偵「V・I・ウォーショースキー」シリーズを一度は読まなくてはと思い。
 シリーズ第1作『サマータイム・ブルース』(1982/1985)を読んだのでした
 (出版年は原作/翻訳です)。

 なお、このシリーズのタイトルは、原題をそのままカタカナにしたのではなく、
 全作の翻訳をされている、山本やよいさんのオリジナルタイトルで、
 タイトルのバタ臭ささは、今となっては、バブル期の残り香として楽しめます。

 山本やよいさんも、シリーズ第1作の頃は、
 名前からしてキャピキャピのバブルギャルの雰囲気がしたものですが、
 今や、この方の翻訳でないとしっくりこないほどに年季が入っております。

 それ以来、必ず新作は読むというほどのめり込んでいた訳ではなかったのですが、
 「V・I・ウォーショースキー」とは、腐れ縁の長いお付き合いになりました。

 それにしても、先に挙げた男性探偵シリーズは既に途絶えているのに、
 女性探偵シリーズは、
 「キンジ―・ミルホーン」シリーズが原作者が亡くなって終わりましたが、
 「V・I・ウォーショースキー」シリーズと「ケイ・スカーペッタ」シリーズは、
 時代と共にアップデートしながら継続しているのは大したものです。

 「V・I・ウォーショースキー」シリーズは、
 作者のサラ・パレッキー(才気溌剌の私より7つお姉さん)が、
 この30年以上の激動のアメリカ社会に真正面から向き合い、
 女性探偵の本拠地であるシカゴを本舞台としながらも、
 巨悪の社会的背景とそこに暗躍する人間関係を、
 大きな地理的・時間的スケールで俯瞰した上で、
 男勝りながら美人で愛嬌もあるV・I・ウォーショースキー(愛称「ヴィク」)を
 情け容赦なく巨悪に立ち向かわせて、どんどん頁数が増えてしまい、
 シリーズ第10作になるころには、ハヤカワ文庫で2000頁近くまでになったため、
 私も覚悟して読みだすようになりました。

 ******

 米国のハードボイルド小説は、何だかんだ言っても、
 男性作家の作品は昔ながらのハードボイルドなのですが
 (「アルバート・サムスン」シリーズは少し毛色が異なるかな?)、
 女性作家の作品は、主人公の成長と人間関係が、
 少女漫画としか言いようがありません(というか、
 「風と共に去りぬ」の昔から、我が国の少女漫画の方が、
 米国の女性作家の感覚に影響されているわけですが)。

 登場する相応にかっこよい男たちはヴィクと関係をもつことも多く、 
 そのうち「今彼」「元彼」が入り混じって(パレッキーは誰も死なせないので)、
 それだけでも話が複雑になり面白さが持続します
 (しかし、女性作家の男の扱いは厳しく、これらの男たちは、
  ヴィクと関係している間はとても魅力的なのですが、
  ヴィクとの関係が冷めた途端に友達化・俗物化してしまいます)。
  
 ヴィクは、毎作、何度死んでも不思議ではない危機に陥りますが、
 周りのレギュラーメンバーが、精神的にも物理的にもヴィクを支えており、
 ヴィクの加齢と共に、これらのレギュラーメンバーとの人間関係に深みがでて、
 新作を読むたびに、ヴィクは、私の人生に併走してくれているような気になります。

 私にとってのヴィクは、映画でいえば、
 『ブリジット・ジョーンズの日記』のブリジット・ジョーンズのような、
 現代社会を併走する戦友のような気分になります↓
 http://patent-japan.sblo.jp/article/177571046.html

《シリーズ第17作『カウンター・ポイント』》

 そうは言っても、短編集すら読むのに難儀している身にとって、
 一時ほどではないですが、それでも700頁前後ある大作は、
 手に取るのも億劫という状態でしたが、
 昨年9月に、私の旧友が生前葬をするから来てくれと大騒ぎするので、
 新宿から九州福岡市まで日帰り強行軍したときに、
 書店にあったシリーズ第17作『カウンター・ポイント』(2015/2016)
 を、新幹線の中で、本当に久々に読むことにしました。

 本作は、シリーズ第2作『レイクサイド・ストーリー』(1984/1986)の直接の続編で、
 『レイクサイド・ストーリー』で謎の死を遂げたヴィクのいとこで
 ホッケー界のスーパースターだったブーム=ブームの過去の人間関係を背景にして、
 ヴィクの高校時代の「元彼」がヴィクに調査依頼をしてくるところから始まります。

 ヴィクの本拠地であるシカゴを舞台に、
 腐敗しきって悪臭芬々とする学校・協会・警察・土建業者・政界の巨悪に
 ヴィクが立ち向かうのですが、
 ヴィクの周りのレギュラー・メンバーも皆巻き込まれ大変なことになります
 (レギュラー・メンバーにとっては毎度の迷惑大騒動です)。

 久々のヴィクとの対面となりましたが、
 いざ読みだすと、夥しい数の登場人物の名前(当然皆カタカナ)が覚えられず、
 前回読んだシリーズ第13作『ウィンター・ビート』(2011/2011)から
 間をあけてしまったこともあり、例えば、
 「今彼」のジェイクはいつ「今彼」になったのか知らなかった、というように
 人間関係がよく思い出せない状態で、なかなか読み進まず、
 夜寝る前に5〜10頁ずつという情けないペースで、
 4か月かかりましたが、昨年(2019年)末に読了した次第です。

 ヴィクは、50代の雰囲気で、前回からあまり年取った感じではなく
 (八千草薫さんがこの30年間60代前後だったようなものですが)、その代わり、
 私の御贔屓の最高齢(90代の設定)のレギュラーメンバーである
 コントレーラス氏を、健在ながらも年相応にヨボヨボにしたり、
 「元彼」の一人だった筈の新聞記者を、業界主流から外れやや老けた感じにしたり、
 「今彼」の音楽家のジェイクは、ヴィクのして欲しいことを全部してくれる等
 (パレッキーは楽しそうに好き放題に書いております)、
 やはり「V・I・ウォーショースキー」シリーズは面白いことを再認識しました。

 ******

 私も弁理士になってから10年が過ぎ、事務所を開いて5年が立ちますが、
 考えてみれば、ヴィクと同じフリーランスという観点で読んだのは
 今回が初めてで、ますますヴィクに親近感が湧きました(というか、
 身につまされます)。

 ヴィクは、今回もそうですが、
 毎度、本業の探偵業務とは関係のない事件に巻き込まれており、
 これだけ大変な思いをして全く収入にならないので、
 物語の合間合間で、生計を立てるための本業をまめにこなしていく
 という、女性作家ならではの現実的な設定に親しみがもてました。

 パレッキーは、ヴィクの現実的な生活感を滲みだす一方で、
 巻き込まれた事件で知り合いになった(品の良い)大金持ちから、
 ヴィクに対して予期せぬ報酬が支払われるという、
 私が夢見てしまいそうなハッピーエンドを用意しています。

《米倉涼子のV・I・ウォーショースキーを見たい!》

 これだけ面白い「V・I・ウォーショースキー」シリーズですが、
 何故か、米国では1回しか映画化されていません。

 シリーズ第2作『レイクサイド・ストーリー』が、
 1991年に『私がウォシャウスキー』として映画化されており、
 主演のキャサリン・ターナー(『白いドレスの女』(1981)には悩殺されました)
 は全くの嵌り役で、ヴィクのイメージそのままで、
 シリーズ化してもよさそうだったのですが、これ1作で続きませんでした。

 この記事を書くときに、Wikipediaを読んではじめて知ったのですが、
 何と、松坂慶子さんがV・I・ウォーショースキーを演じていたんですね。
 NHKがドラマ化した『女にも七人の敵』(1996))ですが、
 何となくわかるといえばわかるのですが、さすがにトホホですね。

 ******

 私は、米倉涼子のV・I・ウォーショースキーを見たいです。

 米倉涼子は、申し分のない美貌とモデル並のスタイルでありながら、
 色気はあくまで武器で、ビジネスライクなハードボイルドの雰囲気がだせる
 我が国では数少ない拳銃片手のアクションが似合う女優で、
 V・I・ウォーショースキーのキャラクターにぴったりです。

 「モリカケ」「桜を見る会」の騒動をみてわかるように、
 『ドクターX』の東帝大学医学部のデタラメ学部長の蛭間(西田敏行)が
 まともに見えるほどに、現実社会の崩壊が進行してしまっては、
 さすがの『ドクターX』も時代に追い越された感じがします。

 テレビ朝日にやる気があるのであれば、
 『新聞記者』(2019年)のような疑似ノンフィクション的フィクションではなく、
 サラ・パレッキーのような視点で、
 魅力的な女性探偵が、我が国の社会の矛盾に切り込むエンタメ路線を、
 米倉涼子主演で開拓して欲しいものです。

 「V・I・ウォーショースキー」シリーズで扱う米国の社会的現実を
 そのまま我が国に置き換えても意味がないので、
 あくまでキャラクターと人間関係を取り込ませてもらって、
 我が国の社会的現実に即したオリジナルストーリーにしたほうが、
 原作の意図に即するように思いますから、
 サラ・パレッキーも協力を惜しまないのではないでしょうか。

 エピソードの一つとして、
 世界的な巨大スポーツ興行団体IOhCが、我が国で展開した、
 巨額のスポーツマネーが動く商標の違法ライセンス事件を、
 米倉ウォーショースキーが、
 弁理士(西島秀俊)とその秘書(石田ゆり子)と組んで追及する、
 というのがあれば、私としては、全面的に協力したいと思っています。

 IOhCの日本支部の会長の裏金スキャンダル、
 IOhCのエージェンシー委員会の会長と開催都市の女性市長との因縁の裏バトル、
 IOhCによるスポーツ興行の跡地を巡るカジノ疑惑などを絡めれば、
 サラ・パレッキーもやる気を出すのではないでしょうか。

 最後に私なりのイメージキャストをしてみましたので、時間潰しにご一読を。
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posted by Dausuke SHIBA at 16:49| Comment(0) | TrackBack(0) |